当院理念

"人生をより豊かに生きやすく"

恵比寿TGクリニックは、トランスジェンダー医療を主軸に据え、今から11年前の2014年に東京都渋谷区恵比寿で開院いたしました。

まだ「LGBTQ」という言葉さえ世間に浸透していなかった当時、医療を必要とするトランスジェンダーの方々は、「どこの病院に行けばよいのかわからない」という大きな不安を抱えておられました。

私は医学部在学中より、社会的に弱い立場にある方々のお力になれるのであれば本望だと考え、微力であっても行動を起こしたいと願っておりました。

実際に、トランスジェンダー当事者の方々から「安心して受診できるクリニックをつくってほしい」という切実な要望をいただき、その声に応える形で数年後に開院に至りました。

近年、社会の急激な変化や日本経済の停滞、複雑化する環境の中で、多くの人々が少なからず「生きにくさ」を感じているのではないでしょうか。

その「生きにくさ」の一端が医学的アプローチによって軽減できるのであれば、当院として全力で支援したい――。こうした思いのもと、私たちは「人生をより豊かに生きやすく」という理念を掲げ、日々の診療にあたっております。

2025年現在、当院ではトランスジェンダーの方々を支える専門医療として、性別適合手術やホルモン療法を中核に据えつつ、長年にわたり培ってきたホルモン剤に関する豊富な知見と経験を基に、男性更年期・女性更年期へのホルモン療法やプラセンタ療法など幅広い治療を提供しております。

診療内容

トランスジェンダー医療への
取り組み

当院では、性の多様性を尊重する社会の実現に寄与するため、以下の医療サービスを提供しております。

性別違和(Gender Dysphoria)に関する診療

それぞれの悩みや状況に応じた相談やアドバイスを行い、一人ひとりに最適な治療計画を提案いたします。

ホルモン療法(HRT)

  • MTFの方に対する女性ホルモン治療、FTMの方に対する男性ホルモン治療
    長年にわたる臨床経験と知見を活かし、個々の状態に合わせた適切な投与量と治療方法を選択いたします。
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  • オンライン医療サービスや自己注射管理への対応
    遠隔地にお住まいの方や時間的制約のある方でも、安全かつ継続的に治療を受けられるよう、オンライン診療や自己注射のサポート体制を整えております。

血液検査等の健康管理や合併症予防を含む総合的なケア

治療の過程で生じうる健康上のリスクを早期に発見・対処するため、定期的な検査や身体的・精神的ケアを総合的に行います。

FTM・FTXの方のための性別適合手術

乳腺の摘出手術や子宮・卵巣の摘出術
専門的な知識と技術に基づき、安全面と術後のQOLを考慮した適切な手術を実施いたします。

トランスジェンダーの方々が安心して受診できる医療環境を整えることを最優先とし、医療的支援のみならず、心のケアにも細やかな配慮を払っております。 これらの取り組みを通じて、一人ひとりが自分らしく豊かに生きられる社会づくりに貢献してまいります。

男性更年期・女性更年期に対する
ホルモン治療・プラセンタ療法の取り組み

当院では、加齢や過剰なストレスの蓄積によるホルモンバランスの乱れが原因で生じる更年期症状(疲労感、気分の落ち込み、睡眠障害、性機能低下など)に対し、下記の治療を通じて患者様の生活の質(QOL)の向上を目指しております。

男性更年期:テストステロン補充療法(TRT) 女性更年期:エストロゲン・プロゲステロンのホルモン補充療法(HRT)、プラセンタ療法

これらの治療もオンラインでの診療が可能です。

患者様一人ひとりの症状やライフスタイルを丁寧に把握し、最適な治療プランを個別にご提案するとともに、身体的・精神的両面から総合的なケアを実践しております。 これにより、より健やかで豊かな日常を取り戻していただけるよう、全力でサポートいたします。

当院で行っている手術

当院では、以下の手術を専門的に行い、患者様それぞれのご希望や状況に合わせた最適な治療をご提供しております。

FTMの方への手術

女性ホルモンの作用によって生じた身体的変化、あるいは女性の象徴とされる部位に対して強い違和感や嫌悪感を抱えていらっしゃる場合、下記の手術が適応となります。

  • 子宮・卵巣摘出手術
    卵巣を温存し、月経の原因を根本的に除去したい方には、子宮のみの摘出も可能です。
    患者様のご希望や健康状態に応じて、最適な術式をご提案いたします。
    また、本手術による副次的メリットとして、将来的な子宮がん・卵巣がん・卵管がんの発症リスクを排除できる点が挙げられます。
    患者様の健康維持および安心感の向上につながる重要な要素として、医師との十分な相談のもとに治療方針を決定していただければと思います。
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  • 乳腺摘出手術
    胸部の外観をより男性的なものへ近づけるため、必要に応じて乳頭・乳輪の位置や大きさの調整も行い、自然な仕上がりを目指します。
  

FTXの方への手術

ホルモン療法を行わない場合でも、毎月の月経に対して非常に強い嫌悪感を抱く方や、乳腺のふくらみに強い違和感を覚える方に対し、下記の手術が適応となります。

  • 子宮摘出手術
    ホルモン療法を行わない場合は、卵巣の機能を残す必要があるため子宮のみの摘出となります。
    ホルモン療法を併用する方については、卵巣も含めた摘出が可能です。
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  • 乳腺摘出手術
    女性的な胸部のふくらみに対して強い嫌悪感がある場合、乳腺の摘出を行い、患者様の心身における負担軽減と自己肯定感の向上を図ります。
  
当院は、これらの手術に際して患者様の心身両面を深く理解し、安心して治療を受けていただける環境づくりに努めております。
術後の経過管理やケアにおいてもきめ細かなサポートを提供し、一人ひとりが理想とする自分らしい生き方を実現できるよう全力で取り組んでおります。

症例数

手術症例数(FTM/FTX)1,052例以上
(令和7年1月現在、日々更新中)

過去5年間の実績において、当院はFTM/FTXのSRS手術症例数で国内最多を誇っております。

手術の症例数は、医師および医療チームの技量をはかるうえで大切な要素の一つだと私たちは考えております。もちろん、これ以外にも考慮すべき点は多々ございますが、客観的な指標として、医療従事者の多くが重要性を認めているのも事実です。

手術時間について

症例数と同様に、手術時間も医療チームの専門性を評価する上で欠かせない重要な指標であると考えております。

一般的に子宮・卵巣の手術は、2時間程度(施設によっては4~5時間)の手術時間を要することが多いとされます。

しかし当院では、高度な技術を要する手術プロセスを確立した結果、30~50分程度、平均約40分で手術を行っております。

乳腺手術も同様に両側乳腺手術を70~90分程度と極めて短い手術時間で行うことが可能です。
そのため、他院に比べて入院期間を大幅に短縮でき、患者様の身体的・精神的な負担軽減につなげることが可能です。

FTMにおける子宮・卵巣摘出術の知見と
安全性への取り組み

  • 結合組織の柔軟性低下
    男性ホルモンの影響により、子宮周辺の結合組織が硬化し、剥離操作において従来の手技と異なるアプローチが求められます。
  • 血管の増生と予測外出血
    ホルモンの影響による血管新生が認められ、術中に想定外の出血リスクが生じることがあるため、慎重な止血管理が必要となります。
  • 膣壁の硬化および裂傷リスク
    組織の線維化により膣壁の柔軟性が低下し、手術操作時に裂傷のリスクが増加する可能性があるため、適切な鉗子操作や剥離技術が求められます。
    また状況によっては、腹腔内で子宮を切断し摘出などより慎重に手術を行います。
    膣が極度に狭い患者様に対しては、独自のオリジナルの手術器具を用いて手術を行います。
  • 内膜症の修復過程による解剖学的変化
    既往の子宮内膜症が男性ホルモンのアンドロゲン作用により修復される過程で、癒着やポケット形成が生じ、従来の解剖学的位置と異なる構造変化がみられることがあります。
  • 子宮重量の低下による手技の工夫
    男性ホルモンの影響で子宮の縮小・軽量化が進むため、鉗子操作や組織把持の際により繊細な手技が求められます。

安全な手術の提供に向けた取り組み

当院では、これらの知見をもとにFTM手術に伴うリスクを詳細に評価し、各症例に応じた術式の工夫や安全対策を講じております。
1,000例以上の豊富な経験を活かし、高度な技術と緻密な術前計画により、安全性の高い手術を提供いたします。

術後感染に対する取り組みと患者様へのお願い

手術後の感染は、一般的に起こりうる合併症の一つですが、当院ではさまざまな工夫を重ねることで、直近800件の手術において術後感染ゼロを達成しています。
これは、医療チームの努力だけでなく、患者様のご協力によって成し遂げられている成果です。

患者様へのお願い:術前の清潔管理

術後感染のリスクを最小限に抑えるため、手術当日の朝に丁寧な入浴と手術部位の洗浄をお願いしております。
これにより、手術前の皮膚の細菌を減らし、安全な手術環境を整えることができます。

当院の感染対策の取り組み

当院では、一般的な手術の消毒・洗浄に加え、さらに徹底した処置を行っています。

  • 麻酔導入後の入念な洗浄
    手術が始まる前に、特に陰部を含めた手術部位を生理食塩水を大量に使用して徹底的に洗浄し、細菌の数を可能な限り減らします。
  • 手術時間の短縮
    術後感染のリスクを低減するため、手術の精度を高めながらも可能な限り短時間で終えられるよう、医療チーム一同、技術の向上に努めています。

手術時間短縮によるメリット

  • 麻酔リスクの軽減
    手術時間が短いほど、麻酔にかかる時間や使用する麻酔薬の量も減るため、麻酔合併症や副作用のリスクを最小限に抑えやすくなります。
  • 身体的負担の軽減
    切開や操作の時間が短くなることで、術中・術後の痛みや出血、疲労感が軽減され、回復もスムーズに進みます。
    これにより、早期の社会復帰や日常生活への復帰が期待できます。
  • 感染リスクや合併症リスクの低減
    体内に医療器具や手が触れている時間が短いほど、細菌が侵入する可能性が低下し、術後感染症や合併症のリスクも軽減されます。
  • 精神的な負担の軽減
    長時間の手術や術後のダウンタイムは、患者様だけでなくご家族にも大きな負担となります。
    手術時間を短縮することで不安やストレスを和らげ、術後の回復に専念しやすい環境を整えることができます。
  • 入院期間の短縮
    手術時間や回復期間の短縮は、入院日数の軽減にもつながります。
    結果として、患者様の経済的・時間的負担を軽減しながら、より良い治療体験を提供できます。

こうした取り組みを通じて、当院では安全性と確実性を担保しつつ、患者様のQOL(生活の質)の向上に大きく寄与できるよう努めております。

患者様にもご協力をお願いすることがありますが、安心して手術を受けていただけるよう、医療チーム一同、最善を尽くしてまいります。

手術前後のサポート

当院では、手術を受ける前に徹底したカウンセリングを実施し、患者様が抱える不安や疑問を丁寧に解消いたします。
また、術後も継続的にフォローアップを行い、オンラインでのご相談にも対応できる体制を整えております。
こうした万全のサポートによって、患者様が安心して回復の過程を歩めるよう努めております。

手術室チームの専門性

当院の手術室チームは、豊富な経験と専門的知見を備えた医師・スタッフによって構成されております。

常に最新の技術や治療法を学び続けるとともに、各手術のたびに振り返りと検証を徹底し、より高水準の手術を提供できるよう研鑽を重ねております。

手術は必ず三枝院長をはじめ、麻酔科専門医や追加の医師2名を含めた最大4名の医師と、4名の看護スタッフによる十分なチーム体制のもとで行われます。

この総合的なアプローチにより、安全性と確実性を最大限に高め、患者様に安心して治療を受けていただける環境を整えております。

医師の紹介

  • 院長
    三枝 敬仁
    Dr.Saegusa
経歴
国立旭川医科大学卒業 日本専門医機構認定産婦人科専門医
臨床初期研修終了後 総合病院産婦人科医として従事
2014年 恵比寿TGクリニック開院
2024年 恵比寿TGクリニック開院10年
手術執刀経験 5000件以上
分娩件数(帝王切開含む)3000件以上
そのうちSRS手術は約1000件。現在も更新中
ホルモン療法(男性ホルモン・女性ホルモン)・更年期障害・手術・麻酔・周産期(産科)医療・生殖医療に強い関心がありそのフィールドでの医療活動を続けています。
media掲載

2017 書籍「ちんちんのないお父さん
タイでの手術合併症(難治性膣尿道瘻)を修復した医師として紹介

2023 TV「インザミラー」フジテレビにて放送
FTMの乳腺手術・子宮卵巣摘出手術、執刀医として手術解説と実際の手術取材協力

2023 映画「52ヘルツのクジラたち
登場人物の主治医として実名使用

YouTube出演

※帝王切開の手術に興味のある方はこちらに動画があります