自己注射について
お近くの病院でホルモン注射・プラセンタ注射を行ってくれるところがない、といった地理的な問題、あるいはクリニックの診療時間とご自身の生活ペースが合わずにホルモン・プラセンタの継続がなかなか難しい場合、「自己注射」という方法があります。
昨今のコロナ禍で病院に行きたくないという人も増え、医療業界ではオンライン化が急速に進んでおります。
自己注射を選択されることで、予約時間に診察が開始され待ち時間がゼロ。移動にかかる費用もゼロ。またクリニックで誰かに会うようなこともないためプライバシーが厳守され人と会うストレスが軽減されます。
①デジスマ診療で予約
[オンライン診療:自己注射を希望]の枠で予約してください。
②オンライン診療
LINEのビデオ通話で医師とオンライン診療を行います。
ホルモン/プラセンタの説明や疑問点などに回答し、同意書をメールします。納得いただけましたら、同意書に「デジタル署名」してください。
③キット発送、自己注射の指導
自己注射キット1回分(ホルモン・プラセンタ/注射器/消毒など)を当院より発送します。
お手元に届きましたら自己注射の方法を説明した動画を見ながら自己注射を開始していただけます。
尚、LINEビデオ通話で自己注射の指導を行うことも可能ですのでご安心ください。
④2回目以降
ホルモン・プラセンタの自己注射が問題なくできましたら、以後はご自身で注射を行って頂きます。
マイページより処方が可能になります。
*ホルモン治療の詳細に関しては、下記の概要をご確認ください
ホルモン注射
FTMの方
- 作 用
- 筋肉量の増加、体毛(ヒゲなど今まで生えていない部分)の増加、声変わり(嗄声)、陰茎・陰核の肥大、月経の停止など
- 副作用
- 肝機能障害、回復し難い嗄声、ざ瘡(ニキビ)、多幸感、注射部位の疼痛・発赤・硬結など
125mg、250mgの製剤が存在します。
②250mgを3週ペースで注射
効果や血液検査を通して投与量や投与間隔を決定するのがベストですが、はじめて開始する場合には上記の2パターンのどちらかでスタートするのが良いです。
3〜6ヶ月程度行い、体調の変化・効果の実感具合・血液検査を通してさらに細かい微調整をする場合があります。
テストステロン製剤は、医療品医療機器等法において、「男子性腺機能不全」の効能・効果で承認されていますが、当院で行うトランスジェンダーの方への使用については国内で承認されていません。適応外使用となりますことを予めご理解ください。
MTFの方
MTFの方がホルモン治療を行いたい場合、女性ホルモン剤を使用します。
- 作 用
- 髪質の変化、皮膚の質感の変化、性欲の低下
- 副作用
- 血栓症・乳がん・肝機能障害・注射部位の疼痛・発赤・硬結など
注射剤:プロギノン
貼付剤:エストラーナ
内服薬:プレマリン
注射剤は確実な投与方法です。内服薬のような肝臓の通過障害を起こさないため肝臓への負担が少なく、貼付剤で頻発するようなテープかぶれも起こしません。
優先順位としては 注射剤>貼付剤>内服薬 となります。
プロギノンデポー10mgを1〜2週に1回
効果や血液検査を通して投与量や投与間隔を決定するのがベストですが、はじめて開始する場合には上記のパターンでスタートするのが良いです。
3〜6ヶ月程度行い、体調の変化・効果の実感具合・血液検査を通してさらに細かい微調整をする場合があります。
ペースが男性ホルモン剤と異なりますがこれは代謝速度が異なるためですので、女性ホルモン剤は3週あけるなどは通常行いません。
ご事情により注射剤の投与が困難な場合は、貼付剤や内服剤で継続できるよう相談しながら決めましょう。
エストロゲン製剤は、医療品医療機器等法において、「卵巣欠落症状」の効能・効果で承認されていますが、当院で行うトランスジェンダーの方への使用については国内で承認されていません。適応外使用となりますことを予めご理解ください。
【重要】SRS術後の方
手術によって精巣もしくは卵巣を摘出した場合、その後のホルモン治療を継続することはとても大切です。
忘れてしまうと、脳血管疾患・心疾患など重篤な疾患をはじめ、ホルモンに関連した多くの疾患にかかりやすくなってしまいます。
当院にもときどき術後数年から長い方ですと10年ほどもホルモン剤を打っていない状態の方が受診されます。受診される方は再開できるのでまだ良いのですが、実際には世の中にSRS後に全くホルモン補充療法を行っていないという方もいるはずです。
今後も当院では注意喚起を行っていきますが、もし周りでそういった状態の方がいらっしゃいましたら是非教えてあげてください。
現在は以前にくらべて比較的クリニックや病院での認知が進んでいるため、治療再開も難しくないと思います。よろしくお願いいたします。
ホルモンについて
詳しく学ぶ
ホルモンとは身体の特定の組織または器官で生産され,直接体液中に分泌されて運ばれ,特定の組織や器官の活動をきわめて微量で調節する生理的物質の総称です。
総称のためホルモンとして分類される物質は少なくとも100種類以上知られています。
また未知のホルモンもあるため今後も数は増えていくと考えられています。
ホルモンを産生する臓器は、主に脳下垂体、甲状腺・副甲状腺、副腎、膵臓、胃腸・心臓血管、脂肪・神経系、精巣・卵巣などが知られており、身体の様々な箇所から産生され、全身に送り届けられ身体の恒常性の維持を保っています。
このうち身体を、持って生まれた別の性に変えたいと考える場合には次のホルモンが重要となります。
1. テストステロン(通称:男性ホルモン)
2. エストラジオール(卵胞ホルモン 通称:女性ホルモン)
1と2をまとめて性腺ホルモンと呼びます。性腺とは精巣・卵巣など性別に関するホルモンを分泌する内分泌腺のことです。
性別を問わず、人の健康を維持していくためにはこれらの性腺ホルモンはとても重要です。
加齢ととも減少することからも、性腺ホルモンは端的に言うと“若さ”を維持させる作用を持っていると考えて間違いはありません。
またこれらのホルモンは、持って生まれた性と異なる性別に変えたい場合、薬剤として投与を行うと、テストステロン(男性ホルモン)を投与した場合、エストラジオール(女性ホルモン)の産生は抑制され、エストラジオール(女性ホルモン)を投与した場合、テストステロン(男性ホルモン)の産生は抑制されるように働きます。
そのため身体としては、どちらか一方のホルモンが十分に存在すれば片方のホルモンは健康維持のために多くは必要ないと判断される機構が働きます。
どちらのホルモンであっても、健康は維持されるのですが、テストステロン・エストラジオールの作用は全く異なります。そのためいわゆる男女における身体外見上の”性差“というものが現れるわけです。
(参考文献)
日本内分泌学会ホームページ
男性更年期障害(LOH)
男性更年期障害とは、加齢に伴う男性ホルモンの低下によって体がだるい、やる気がでない、勃起が弱くなるなどの症状を呈するようになった状態のことで加齢男性性腺機能低下症候群(Late-Onset Hypogonadism:LOH症候群)とも呼ばれています。
男性においても女性においても性ホルモンは加齢によって低下してきます。特に女性では閉経後に女性ホルモンが急激に低下することで症状となって現れ、更年期障害として苦しむことが知られています。
最近になって男性でも「テストステロン」という男性らしさをつかさどるホルモンが減少することによって更年期障害が起こることがわかってきました。
一般的に、テストステロンの量は10代前半から急激に増え始め20歳ごろをピークに加齢とともに徐々に減少していきますが、男性更年期障害は40代後半から多くなり40~60代の働き盛りの世代の方々に最も多くみられます。
加齢だけでなくストレスや環境変化などが加わることによってテストステロンが急激に減少してしまうと体のバランスが崩れてしまい様々な不調を引き起こすことになります。さらに、最近では男性更年期障害とメタボリックシンドロームや“がん”との関連性も分かってきました。
性欲がない、勃起が弱いなどの性機能低下、体がだるい、やる気が出ない等の精神症状、ほてり、発汗などの身体症状、記憶力低下など、その症状は多岐に渡ります。
どれをとっても男性更年期障害と知らなければ「年のせいかな?」と思い込んでしまいそうな症状ばかりなので放置して重症化してしまうケースも珍しくありません。
もちろん、加齢に伴う男性ホルモンの影響以外でもこれらの症状を感じることがありますので全てが男性ホルモンのせいとは限りません。
- 検査と診断
- 主に問診によって状態を判断します。状態によっては検査が必要な場合があります。
- 治療方法
「テストステロン補充療法」を行います。当院では男性更年期障害の方、性別違和を呈する方へのホルモン治療を長年行っており、各個人に応じた最適なホルモン剤の量とペースの提案が可能です。
ご希望に応じてオンライン診療、自己注射での自宅での注射も可能です。
※スポーツ競技のためのドーピング目的の治療は行っておりませんので予めご理解ください。
- 費 用
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初診料:5500円
テストステロン製剤:250mg 3200円
血液検査費用:7700円~(検査項目による)
プラセンタ
プラセンタは、お腹の中の赤ちゃんに栄養や酸素を運ぶ「胎盤」のことです。胎盤にはアミノ酸、ビタミン、ミネラル、核酸、活性ペプチド、酵素、ムコ多糖類などが凝縮されていて、正に栄養の塊なのです。そんな胎盤から栄養素の成分を摘出したものが「プラセンタ」です。
プラセンタエキスは、ヒト胎盤から抽出した有効成分エキスです。プラセンタエキスは、更年期障害の治療薬として認可を受け、幅広い症状に効果が期待できます。現在、日本の厚生労働省により認可されているプラセンタの注射剤は『ラエンネック』と『メルスモン』のみとなります。当院では、厚生労働省から認可されているプラセンタを使用しています。
美容やアンチエイジングの領域で注目されているプラセンタですが、近代医学におけるプラセンタ療法は、1930年代、旧ソ連・オデッサ医科大学教授のフィラトフ博士が「プラセンタの埋没療法(組織療法)」を行ったことに始まり、この埋没療法を実践した多くの研究報告や論文が発表されました。
日本の医師たちもこの影響を受け、1950年代頃よりプラセンタ埋没療法を始めるようになります。
そして、日本の医療現場では1950年代から更年期障害や肝機能障害を治療する医薬品として厚生労働省より認可され、現在まで使用されてきた長い歴史があります。
感染症を懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、肝炎やエイズなどのウイルス感染症のないことが証明されている、国内の健康な女性から提供されるものを使用しているため、そうした心配はありません。
また、製造過程においてもプラセンタ中の血液やホルモンはすべて除去されるので当然、注射剤には血液やホルモンはまったく含まれていません。さらに変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)は、プリオンという特殊なタンパク質によっておこるとされるため、酸による加水分解でプラセンタ中のタンパク質をアミノ酸に分解し、そして最終滅菌(121℃ 30分間)するなど、感染症に対する万全な対策が講じられています。
- 頻 度
- 美容やアンチエイジングが目的でのプラセンタ治療は一般的に1回2本ずつ、週2回の投与が推奨されています。
また、1回の注射量は1~10Aと幅がありますが、平均的な量は2~5Aくらいです。(1アンプル、2ml)
- 対象者
- ・すでにプラセンタ治療を他院で行っているが、なかなか病院へ行けない方
・プラセンタ治療がはじめてであり、病院へ行くことに躊躇している方
- 副作用
- とても細い針を使いますが、注射を行いますので、針を指した際のチクッとした痛みを感じる方もいらっしゃいます。 針を指したことにより、ごく微量な出血がある場合もございます。 医療機関でヒトプラセンタを注射(ラエンネック・メルスモン注射)すると、厚生労働省からの指導により献血や輸血が不可能になります。ご理解と同意を頂いたうえで、同意書にご署名頂きます。
- 費 用
- 初診料:5500円
プラセンタ:10本セット 14300円