"FTX・FTMで自身の身体的性別違和のある方"
FTX・FTMの方が乳腺摘出術や子宮摘出術を検討する際、身体的・精神的な側面を総合的に考慮することが重要です。
以下に、各手術の医学的・生活面でのメリットを整理します。
乳腺摘出術対象者
FTX・FTMの方で、思春期の女性ホルモン暴露による女性体型、特に乳腺の膨らみを気にされ悩みを持つ方
※いわゆる胸オペ、海外ではトップ手術と呼ばれています
- 圧迫による健康リスクの回避
長期間のバインダー使用は、肋骨の歪み、呼吸機能の低下、血行不良、皮膚炎などのリスクを伴います。
手術によってこれらの健康上の問題を回避することができます。 - 乳腺組織に関連する疾患リスクの低下
乳腺組織の縮小または除去により、乳腺に関連する良性腫瘍や乳がんの発症リスクが低減します。
- 性別違和の緩和
乳房の存在が精神的なストレスや違和感の要因となる場合、手術によって心理的な負担を軽減できます。
- 日常生活の快適性向上
衣服の選択の自由度が増し、運動や入浴などの際のストレスが軽減されます。
子宮卵巣摘出手術対象者
FTX・FTMの方で、月経のリスクを完全に0にしたい方。
女性特有の器官があることに違和感を覚える方、将来の婦人科疾患のリスクを限りなく低減させたい方。
※FTXの方は原則「子宮・卵管摘出で卵巣温存手術」となります。
※FTMの方でももちろん希望により卵巣の温存をすることが可能です。
- 月経が完全に停止
低用量ピルなどの薬剤管理が不要となり、月経に伴う疼痛や不快感、PMS(月経前症候群)を解消できます。
- 月経による性別違和の軽減
月経の継続が精神的な負担となる場合、手術によってその要因を取り除くことができます。
- 子宮に関連する疾患の予防
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がん・子宮体がんなどのリスクを回避できます。特に、ホルモン治療を行わずにピルを長期服用している場合、子宮内膜に対する影響が懸念されるため、手術によってこれらのリスクを除去することは合理的な選択となります。
- 卵巣を温存することでホルモンバランスを維持
卵巣を残すことで、エストロゲン分泌が維持され、閉経後の骨密度低下や更年期症状の急激な発現を防ぐことができます。
- 妊娠の可能性をゼロにすることで、不安要素を取り除くことができます。
子宮・卵巣摘出術のメリット
- ホルモンバランスの安定
男性ホルモン(テストステロン)投与を続けることで、子宮や卵巣に影響を与える可能性があります。
子宮内膜増殖や卵巣嚢腫のリスクを回避し、ホルモン療法をより安全に継続できます。 - ホルモン治療の簡素化
一部の人にとって、子宮や卵巣がある状態でテストステロンを使用することでホルモンバランスが不安定になることがあります。摘出により、ホルモン管理がしやすくなります。
- 月経の完全停止
男性ホルモン治療によって通常は月経が止まりますが、完全には止まらない場合や、不規則な出血が続くことがあります。手術により、月経に関する悩みを完全に解消できます。
- 女性生殖器に関する違和感の解消
自分の体に女性特有の臓器があること自体が精神的ストレスになる場合、摘出することで性別違和が軽減し、より自分らしい生活が送れるようになります。
- 子宮・卵巣に関わる疾患の予防
長期的にテストステロンを使用すると、子宮内膜増殖症、子宮頸がん、卵巣嚢腫、子宮筋腫などのリスクが高まる可能性があります。
- がんリスクの低減
子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がんのリスクがゼロになるため、定期的な婦人科検診の必要がなくなるケースもあります。
- 意図しない妊娠への不安を解消
性的パートナーの有無に関わらず、妊娠の可能性があることが心理的なストレスになることがあります。子宮を摘出することで、この不安を完全に解消できます。
手術の選択は個人の価値観に依存
子宮・卵巣摘出術は、FTMの方にとって重要な選択肢の一つですが、必ずしも全員が必要とするわけではありません。
ホルモン治療のみで満足できるか
婦人科疾患のリスクをどの程度重視するか
性別違和の程度やQOLの向上をどのように考えるか
下記は手術に関する詳しい情報です。